スケールサークルと五度圏のちがい

音楽を学んだことのある人なら、たいてい五度圏を知っています。スケールサークルも12の音が円に並んでいるので見た目は似ていますが、答えてくれる問いがちがいます。ここでは両者のちがいと、どんなときにどちらを使うかを説明します。

五度圏でわかること

五度圏では、音が完全5度ずつ並んでいます:C、G、D、A、E、B、F♯…。時計回りに1つ進むごとに調号のシャープが1つ増え、反時計回りに1つ進むごとにフラットが1つ増えます。そのため五度圏は、次の3つの問いに強い図です。

  • その調にシャープやフラットがいくつ付くか
  • どの調が近親調か — 隣どうしの調は臨時記号が1つちがうだけなので、いちばん自然に転調できます
  • その調の中心になる3つのメジャーコード(I・IV・V)はどれか — 円の上で横に並んでいます

くわしい解説は五度圏のページにあります。

スケールサークルでわかること

スケールサークルでは、音が半音ずつ並んでいます。ピアノの鍵盤とまったく同じ順番です。だからサークル上の距離がそのまま音楽上の距離になり、スケールが1枚の図になります。

そのおかげで、五度圏にはできないことができます。

  • 調だけでなく、スケールそのものが見えます。どの音が入っているか、主音はどこか、音と音の間がどれだけ離れているか。
  • どんなスケールにも使えます。メジャーとマイナーだけではありません。ハーモニックマイナー、メロディックマイナー、各種の旋法、ペンタトニックスケール、ディミニッシュ、エキゾチックなスケールまで、どれも同じようにはっきり描けます。
  • コードとその役割がひと目でわかります。T・S・D の機能領域と、スケールにメジャーコードとマイナーコード(トライアド)がいくつあるかを示す構成式が、ダイアトニックなスケールに限らず、どのスケールにも表示されます。
  • スケールを手で組み替えて、その結果をすぐに耳で確かめられます。

同じスケールを2つの円で比べる

左が五度圏、右がスケールサークルです。金色の音が主音です。

上:C メジャー(ハ長調)。 五度圏では、7つの音が F、C、G、D、A、E、B と一続きに並びます。これこそ五度圏の本当の強みで、メジャースケールとナチュラルマイナーは円の上にまとまって収まります。

下:A ハーモニックマイナー(イ短調)。 変わったのは1音だけ、G が G♯ になりました。すると五度圏では、G♯ がほかの音から離れて円の反対側へ飛んでしまいます。スケールはもう円の一続きの区間ではなくなり、図を見てもしくみがわかりません。スケールサークルでは形がほとんど変わらず、肝心な点がはっきり見えます。F と G♯ の間に、全音半という広い間隔が生まれたのです。ハーモニックマイナーをそれと聞き分けられるのは、まさにこの間隔のおかげです。

スケールサークルが TerryTrilla の中心ツールである理由

五度圏はメジャーとマイナーを軸にできています。スケールがその枠を外れたとたん、役に立たなくなります。

スケールサークルの軸は音程です。そして、音程を持たないスケールはありません。TerryTrilla のライブラリには、5音、6音、7音、8音のスケールが 258 のファミリー、1,601 種類収められています。スケールサークルは、そのどれでも描き、名前を示し、度数、音程、コード、機能まで分解して見せてくれます。

もう一つのちがいは、スケールサークルは自分で動かせることです。五度圏は調べるための早見表ですが、スケールサークルは楽器のような道具です。音を変える、スケールを移調する、となりの旋法へ移る — どの操作も、すぐに結果が見えて、聞こえます。

使い分け

やりたいこと 向いているツール
調のシャープ・フラットの数を確かめる 五度圏
転調先になる近親調を探す 五度圏
スケールの成り立ちと響きを理解する スケールサークル
ハーモニックマイナー、メロディックマイナー、旋法、ペンタトニックスケールを分析する スケールサークル
スケールにどんなコードがあり、それぞれがどんな役割かを見る スケールサークル
スケールを組み替えて、すぐに響きを聞く スケールサークル

両者はライバルではありません。五度圏は調を調べるための早見表、スケールサークルはスケールを扱うための道具です。

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